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科学的判断を放棄し続ける菅政権

沖縄県に緊急事態宣言が発令され、9都道府県に発令されている緊急事態宣言も来月20日まで再度延長される見通しです。予想された通りですが、東京や大阪では宣言を解除しても感染の急激な再拡大が起こらないレベルまで下がったとは程遠い状況が続いてきます。このような状況下、アメリカ政府が新型コロナウイルス感染状況を理由に、日本への渡航中止を勧告しました。東京オリンピック・パラリンピック開催への反対の声は強まるばかりです。

しかしながら、菅首相は、緊急事態宣言を延長しても行動規制を緩めることはあれど強めることは絶対にしないでしょうし、念仏のように安心安全な大会の実現を唱え続けそうです。

菅政権が愚かなのは、コロナに対して希望的観測に基づいてしか政策決定を行わないことです。行動規制の度合い・ワクチン接種率と感染の状況に関しては、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに出席している京大の西浦教授や東大学の仲田泰祐准教授らを引き合いに出さずとも、多方面の研究者がシミュレーションを行っているはずです。緊急事態宣言下での行動規制の度合いとワクチン接種の進行による新規感染抑制効果に応じて、感染数をある一定レベルに下げるまでにかかる時間、その間に発生した休業や時短による経済損失、協力金に支払いによる政府債務の増加の値、重症者数・死者数といった指標は推計できるはずです。政府の分科会には国内では著名な経済学者が名を連ねていますが、彼らには会議に出席して政府の言うことに賛成することしか求めていないのでしょうか?それでは意味がありません。

もちろん、シミュレーションの結果が現実と一致することは多くないでしょうが、シミュレーション以上に説得力がある予測手段もないでしょう。国のリーダーが科学的に物事を判断するならば、感染症対策と経済予測の専門家からなるチームを作って、行動規制の度合いに応じた感染による被害と経済損失を比較して政府が総合的な判断できるように依頼するはずです。そして政府は、何パターンからのシミュレーション結果を総合的に判断して、緊急事態宣言に見られるような行動規制の内容(規制の度合い・適用対象地域・期間)を決定すべきです。

仮に感染症対策の専門家が規制をもっと強くしたいとしても、それに対して菅首相が反対するのならば、「専門家の意見に従えば感染はこれだけ減るが、シミュレーションの結果その分これだけ経済に深刻な打撃が生じ政府としてはそれは避けたいと思ったので、規制を緩める判断をした」と言えば、もう少し国民は納得するかもしれません(私は短期的に行動規制を相当強めて感染を劇的に減少させた方が経済の再生は早いと考えていますが)。

しかし菅首相がそういうことをしないのは、政策を科学的に判断する能力が欠如しているのか、官僚を恫喝していれば今までは上手くやってこられたので何とか乗り切れると楽観視しているからなのかは分かりません。いずれにしても、菅首相が非科学的な判断を続ける限り国内でのコロナ渦の終息は遅れるでしょうし、日本の国際的プレゼンスも下がり続けることでしょう。





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