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岸田首相の筋違いなステルス増税と国民の意識改革の必要性

 岸田首相は2月6日、少子化対策の財源確保のために医療保険料に上乗せして徴収する支援金の負担額について、加入者1人あたり平均で月500円弱を見込んでいると国会で答弁しました。政府は2026年4月から支援金の徴収を始め、段階的に規模を引き上げ2028年度に約1兆円を集める計画ですが、当初の2年間は、現役世代を含む74歳以下の医療保険の加入者に対し、事業主の負担分も含め全体の92%の負担を求める方向で調整を進めているとのことです。

 これに対して早速、「自分たちは脱税まがいの行為を散々行ってきながら、国民に対して安易に負担を求めるのは許せない」という至極当たり前の批判の声が上がっています。さらに、月500円弱の負担で収まるかも疑問であり、実際の負担額は加入する医療保険や所得によって変わってきます。協会けんぽで月1,025円、組合健保で月1,472円、年額で言うと2万円近い負担になる人も出てくるという試算もあります。

恵まれた世襲政治家による、本末転倒な「少子化対策」

 政府が少子化問題を最重要課題の一つとして位置付けるのは理にかなっているとして、使途が限定されている支援金の財源を、少子化対策とは本来無関係な医療保険料に上乗せして徴収するというのは筋違いです。また、少子化の原因はいくつもありますが、日本の場合は、①出産が社会的に結婚を前提とされており、②結婚の際に男性に経済力が求められるが日本の実質平均給与が30年間で下がっており、③生涯未婚率(50歳時未婚率)が男女とも右肩上がりになっていることが特徴として挙げられるでしょう。つまり、結婚しなければ子供を産みづらいけど、結婚に至る経済力を得ることができないということです。この構造を変えなければならないのに。岸田政権が、そこに対して有効な手を打たないで、既に結婚している人たちを支援することしか眼中にないのは本末転倒です。

 お金がないので結婚できず子供を持てない人から、少子化対策と言ってお金を取るのは愚策としかいいようがなく、歳出改革も進まず物価高騰で実質賃金が下がっている状況で「歳出改革と賃上げで、実質的な負担は生じない」という岸田首相の答弁は全く根拠がないとしかいいようがありません。恵まれた環境で育った岸田首相や加藤鮎子少子化対策担当相のような世襲政治家は、結婚したくてもできないとかそもそも子供を産むのに結婚することが本当に必要なのかという根本的な問題に対して、理解が欠如しているのではないのでしょうか?

 少子化対策のために公的支出を行うのならば、財源はこの問題とは無関係な医療保険料ではなく税金とすべきで、さらにその税金は高所得者や利益を上げている法人が多く負担すべきです。逆に言えば、子育て世代の中低所得者層の実質所得を増やすのであれば、社会保障費負担を減免するなど実質的な減税を行う方法もあります。いずれにせよ、全体的に的外れで小手先感が強い少子化対策のためにステルス増税が行われるのは腹立たしく、少子化対策は一から見直されるべきです。

「ジェンダー平等」で問題は解決はしないが、推進は必要

 これに関しては、日本の保守的な社会的慣習が実際の社会構造とあっておらず、少子化を進めていることは否めないのに、自称「保守政党」の自民党が現実に向き合おうとしないという問題点を指摘せざるをえません。①結婚していなくても子供を産んで育てやすくする、②男女間で結婚などのパートナー関係を構築する際、男性が経済力を求められる社会的風潮を変える、③正規労働と非正規労働の違いを正社員に近づける方向で無くし賃金を上げる、といった政策に本気で取り組めば効果は出てくると思います。

  1. 社会全体でクオーター制の導入を浸透させる
  2. 男性が育児休暇を取得しないことが不利になるような制度設計をする
  3. 国が、性的少数者(LGBTQ)のパートナー関係を公的に認める「パートナーシップ制度」を、異性間にも適用した形で導入する
  4. 選択的夫婦別姓を実現する
  5. (個人的には憲法改正が必要となると思いますが)同性婚を認め、性的少数者が子どもを持つ権利とその体制を整備する

といったジェンダー平等政策は、北欧諸国ではかなり浸透していますが、保守的な日本社会では違和感をもつ人が多いと思います。しかし、自民党の自称「保守」政治家や自民党に献金を続けている保守的な体質を持つ昔ながらの日本企業が権力を握りつづけた結果が今日の日本の衰退につながっているので、「保守」を標榜してこういった「リベラル」な政策に拒絶感を持つ人たちは一度冷静になった方が良いと思います。もちろん、「リベラル」なはずの北欧諸国でもここ数年で出生率が急激に低下しており、ジェンダー平等だけで問題が解決するわけではありません。しかし、ジェンダー平等を進めなければ、日本社会が大きく変化した以上、出生率の向上も望めないのではないでしょうか。

 それには、男性だけではなく女性や性的少数者の方々にも、より公平・公正な社会を実現するためにより積極的に行動する意識改革が必要なのではないでしょうか?





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