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看過すべきではない、海外メディア記者による傲慢な東京レポート

昨日の東京都の新規感染者数は1149人となり、予想よりも感染者数増加のスピードが速く、デルタ株が相当厄介な存在であることが改めて裏付けられました。しかしながら、菅政権とIOCはこのような状況でも東京オリンピック・パラリンピックを強行しようとしており、開会式まで一週間余りとなった今、海外メディアの記者の入国が多くなってきていています。

さて、内容がコンパクトにまとまっていることから、アメリカABCニュースをインターネットで見るのが私の平日の日課なのですが、同放送局に所属するイギリス人のロンドン特派員の記者James Longmanが、ここ数日日本に対してかなりバイアスが掛かった報告をしており、看過できないと思ったので当該記者に対して最近、リツイートなどで怒りの声を挙げた次第です(今のところ返答なしですが)。

Countdown to Tokyo Olympics as new state of emergency goes into effect

ことさらに日本のワクチン接種率の低さを強調

この記者は、アメリカの前政権とイギリスの現政権の感染予防対策が不十分だった(な)結果、米英両国が日本に人口比で比べなくとも圧倒的に多い死者数を出してきたにもかかわらず、勝ち誇ったように日本のワクチン接種(完了)率の低さを強調した報告をしています。現在、米英においてもデルタ株への感染が急速に広がっておりイギリス国内の死者数の値も上昇し始めているのに何を言っているのだと思いましたが、彼は外国の報道陣への行動規制の厳しさにうんざりしたような表情を浮かべながら、日本の感染者数が少ないのに日本国民がすごく神経質になっているのはデルタ株への感染が広がりつつあるのにワクチン接種が遅れているからだとの発言を繰り返しています。

リンクを張った彼のレポートで最初に違和感を覚えたのは、「So few people have received a vaccine」,「Only about 16% of people have received a vaccine.」などと言っていることです。①私の英語読解力ではreceive a vaccineはワクチン接種を(少なくとも)一回は受けたことがあると理解すべきと思ったことと、②前日のレポートで彼は「Only about 15% of people are fully vaccinated」と述べていたはずで、彼は事実をゆがめたと感じました。もしreceive a vaccineで接種が完了と解釈できるのならば本段落の主張を訂正しますが、それでも人口の約1/3がワクチン接種を一回は受けたことがあるのに、so few peopleという表現が適切でないのは明らかです。

東京タワーを指さし、「これはエッフェル塔ではありません」

ただでさえ彼の物言いに不満を感じていた私が頭に来たのは、彼が、ニューヨークのメインキャスターらを相手に東京のシンボルである東京タワーを指さしながら、「これはエッフェル塔ではありません」と言ってのけたことです。今時、アメリカを代表するメディアの記者が看板番組でこのようなことを言い出したのには目を疑いました。NHKの特派員が他国の代表的観光スポットに対してこのような失礼な発言を行うことはないでしょう。この記者はフランス語が堪能だと言うことでパリでの取材経験も多かったのでしょうが、多分に差別的なニュアンスを感じました。我々が彼に見下される筋合いは全くありませんし、こういう外国メディアの傲慢な報道姿勢に対して我々日本人はしっかりと抗議する必要があるのは言うまでもありません。

そもそもなぜ、ABCニュースはロンドン在住の特派員に東京についてレポートさせているのでしょうか?ABCネットワークがGDP世界第3位の日本の首都である東京に特派員を派遣する金銭的余裕がないとは決して思えません。CNNはともかくとして、他のアメリカの主要メディアでは、視聴者が興味を持たないからか国外ニュースの取り扱いが基本的に他国におけるそれと比べて小さいので、黙っていれば彼らの報道姿勢はいつになっても変わることがないでしょう。

失礼な報道には怒るべきだが、五輪開催で避けられない海外での否定的報道

しかしながら、外国からの五輪報道関係者が日本での行動規制に厳しさに対して人間扱いされていないなどと不満を持つのは理解できることです。だからと言って、彼らの要望のままに行動制限を緩和すると感染の拡大が起きることは十分想定され、そのようなことはできないことも事実です。入国を予定している報道関係者に対して事前の説明を十分に行うことは当然必要ですが、それでも彼らが日本の現状やオリンピックの運営に対して不満を持ち、否定的な報道を母国の視聴者に対して行うことを防ぐことはできないでしょう。

適切に開催できる体制になってない以上、五輪は中止すべき

バッハ会長をはじめとするIOC幹部の来日を歓迎しないのは当然として、海外からの選手や報道陣に対して、我々がホストとして適切にもてなせる状況にないのは否定しようがありません。また、日本に到着した外国の選手団からの感染例が増えることが予想される以上、選手も好結果を出せない可能性が十分あります。IOCはお金が入ってくれば十分なのでしょうが、後味が悪くなることが確実な大会を無理に開催する必要性はありません。かえって日本のイメージを悪化させるだけです。ホスト国としてオリンピックを適切に開催できる体制になっていない以上、はやり、今からでもオリンピックは中止すべきです。今が五輪中止最後のチャンスです。





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