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批判噴出!「れいわローテーション」は比例代表制見直しのきっかけになるか?

昨年7月の参議院選挙全国比例区で初当選したれいわ新選組の水道橋博士参議院議員が今月16日、議員辞職しました。水道橋氏は、昨年11月に11月にうつ病を公表し、自宅療養していていたとのことです。

れいわ新選組の山本太郎代表は水道橋氏の残り5年半の任期に関して、比例名簿で落選した5名全員について各自1年程度で代わる代わる繰り上げ当選と議員辞職を繰り返させる「れいわローテーション」なる奇策を発表しました。これに対しては早速、議員辞職は本人の意思を最も尊重すべき、1年程度では知識を吸収できずまともな活動ができない、特定枠の3人は任期保証されることから逆差別が発生する、政党名でなく個人名で投票した有権者への背信行為であるなど、批判が噴出しています。これらの批判は私も全くその通りだと思います。

高まる比例代表制への批判

しかしながら、山本氏にしろ、所属議員であるガーシー氏の長期欠席が非難を浴びているNHK党党首の立花孝志氏にしろ、参議院全国比例区で議席を獲得することを最優先にして自身が一から作った政治団体を短期間で国政政党化させたわけであり、彼らからすれば比例区こそ主戦場です。合法的であればなんでも利用して自身の政党の勢力拡大を目指すのは当然と考えているはずで、これからも彼らがこの手の奇策を駆使することは避けられないでしょう。

もっとも、「れいわローテーション」で繰り上げ当選して議員になった一人が、おとなしく1年で議員辞職しないことも十分想定されます。途中から、れいわの党運営や政策に対して批判的になり同党を離党(無所属のままで他の会派へ所属)することになれば、同党は議席を失うばかりか比例で当選した議員の移動の問題がクローズアップされます。そうなれば、「比例復活」のゾンビ議員に加えて、ガーシー議員の一件と「れいわローテーション」で強まっている比例代表制への風当たりがさらに強まることは間違いないでしょう。

比例代表制自体は優れた選挙制度である

しかし、比例代表制は、各政党が獲得した投票数に比例して候補者に議席を配分する選挙制度であることから、①社会の各集団の意思を、得票数を通じてほぼ正確に議会の獲得議席(議席配分)に反映でき、死票を最小限に抑制することができる、②新たな政党の出現が比較的容易である、③全国区の場合は一票の格差は発生しないという優れた性質を持つ選挙制度です。さらに言えば、「比例復活」というのは小選挙区制と比例代表制が同時に採用されているから起きる話で、比例代表制そのものの欠点ではありません。

一方、小選挙区制に関しては、二大政党制が実現しやすく二大政党による政権交代が起こりやすいメリットがある一方で、死票が多く、選挙区の区割りによって大きく結果が異なってしまうという問題点があります。

さらに中選挙区(定数3-5人程度)を含む大選挙区制は、少数代表制を用いることによって小選挙区よりは死票が少なく国民の多様な意思を議席に反映しやすい利点を持つ一方で、①ある政党が議席の過半数を得るためには、選挙区において複数の候補を擁立しなければならず同一政党間における同士討ち問題が生じる、②単記非移譲式を用いた場合、候補者同士のサービス合戦になり金権腐敗体質を招きやすい、③選挙区が広いので小選挙区より選挙費用がかかるという大きな問題点があります。

このように多くの問題点があるからこそ、衆議院では中選挙区制度が廃止された(国政選挙で採用している国はほとんどないと思われる)わけです。1980年代末から90年代初頭にかけての選挙制度改革の議論においては、政権交代を起こしやすい小選挙区制の導入が中選挙区制のオルタナティブとして中心的存在だったものの、小選挙区制では少数意見が反映されないという理由から、今日の小選挙区比例代表並立制が採用された経緯があります。なので、比例代表を廃止し小選挙区オンリーにするとか中選挙区制を復活させるような方向で選挙制度改革の話がまとまるとは到底思えません。

「修正プレミアム付き比例代表制」は小選挙区制と比例代表制両方の欠点をカバー

ここで、私たち進歩党は選挙制度改革案として、かつてギリシャやイタリアで導入されていた「プレミアム付き比例代表制」を若干修正したうえで、その全面的な導入を提唱しています。私たちが提唱する制度の下では、比例代表制にもかかわらず政権選択が可能になり、各党の議席は各党の議席は単なる議決権の比率を表すものに過ぎなくなり国会議員の定数是正の問題が解決され、一票の格差の解消も可能になり、議員身分の固定化および特権の廃止も可能になります。

私たちが提唱する制度の詳細はこちら

「プレミアム付き比例代表制」とは、最多得票を得た政党(政党連合)が一定の得票率(40%以上など)を得た場合に、ボーナス議席を与えて議席の過半数を保証する比例代表の選挙制度です。この制度に対しては、最多得票を得た政党(政党連合)が過半数の得票率を得ていない場合に過半数の議席を得るのはおかしいという考えを持たれるかもしれません。それについては、私たちは、二回投票制を導入して、第一回の投票で過半数の得票率を得た政党連合がない場合、一定の条件の下、上位二政党(政党連合)間で決選投票を行い、勝者に過半数の議席を与え、それ以外の政党(政党連合)に残りの議席を得票率に応じて案分するのが妥当だと考え、修正した制度を提唱しています。

私たちは天皇と共存する形で大統領制を導入することで政権の首班を直接公選で選出し、任期期間中の地位を保証する(弾劾以外は地位を奪われない)など強い権限を与えることを訴えていますが、それに加えて、議会(特に国会)においてこの修正プレミアム付き比例代表制を採用することにより、政権の安定化と少数意見の反映の両立がより透明な形で実現することを目指しています。

全てを比例代表で選べば議員特権は不要。議員定数、一票の格差の問題も解消

ここで注目していただきたいのは、そもそも比例代表は政党を選ぶ選挙なのだから、各政党に対して議席枠だけ与えて議員は固定しなくても良いのではないかということです。私たちが想定している参考例として、ドイツの連邦参議院があります。連邦参議院は各州政府の代表者によって構成されており、法律上の規定ではありませんが各州の首相もしくは閣僚が出席するのが通例とのことです。審議する法案によって代表者が入れ替わるのが普通であり、定まった議員が存在するわけではありません。各州の代表者には、連邦から議員歳費は支給されず、議会活動にかかる費用はすべて各州の負担とのことです。

これを日本の国会に当てはめた場合、各政党の職員などが国会において代わる代わる質問や採決を行えばよいので、議員報酬や各種議員特権は廃止できます。当然、国会議員の公設秘書制度も廃止することが妥当となりますが、各政党の議会活動を全て自費でやれというのは非現実的であることから、少なくとも国政政党の党本部職員全員に対して、現在の国会議員公設秘書のような特別公務員職とする措置の導入は必要でしょう。

現行の衆参二院制をどうするかについて、私たち進歩党は、国会を再編して上下両院(名称未決定)からなる連邦議会を創設することを掲げています。具体的には、下院(現在の衆議院)は全国の国民の意見を代表する場と考え、全議席を全国1選挙区としたプレミアム付き比例代表制から選出されるとします。一方、上院(現在の参議院)は、地域(現行府県を残して道州制を導入した場合の各州)の意見を代表する場と考え、各州を選挙区としたプレミアム付き比例代表制から大部分が選出されるものとし、それ以外を各州政府の代表者枠とするとします。両院対等同定数とし、両院の議決が違った場合は、合同会議を開いて単純多数決で議決、ただし片方の院の賛成が25%未満の場合は可決を認めないとすることで、慎重な審議という二院制のメリットと立法の円滑化という一院制のメリットの両方を享受できることを目指しています。

こうした構想は、研究者としての専攻が政治経済学(公共選択論)であることを生かして私が発案したもので、党の政調での審議を経てより具体化されました。もちろん、制度には必ず抜け道が存在し想定外の事態が起きる可能性はあるでしょうが、より科学的見地から合理的な制度設計を目指す私たちの方向性は正しいと自負しています。進歩党に対するご支援を宜しくお願い致します。





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