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個人の行動制限に対する菅自民のちぐはぐな対応

4都府県に3回目の緊急事態宣言が発せられてから3週間近くが経ちますが当該地域で新規感染が減っているとは言えず、変異株への感染が急速に拡大していると言われる東京都では増加傾向にあります。緊急事態宣言の対象地域が広がったことを見るまでもなく感染は全国的に広がっており、北海道は本日、全道で712人、札幌市では約500人(499人)とこれまでを大幅に上回る新規感染が報告されているとのことです。

再び感染が広がっている理由は単純で、政権が国民の多くが知らない間に水際対策を緩め、中途半端な経済活動規制をお願い(自粛)ベースでだらだらとやってきたからなのですが、それを決めたのは菅首相であり、結局は菅首相に将来を適切に予想する力が無いということに帰着します。

将来を適切に予想できないのであれば、自分にはリーダーの資格がないと認識し早く身を引いてくれれば良いのですが、菅首相のたちが悪いのは、自分たちがこれまで取ってきた政治手法では変異株がもたらす衛生・経済危機に太刀打ちできない現実を直視しようとしないことです。

将来を適切に予想できず権力に固執する人物が国のリーダーにとどまっているというのはそれだけで国を駄目にします。旧民主系(私もそうではありますが)に典型的に見られるように自分のことを棚に上げて他人のことを辛辣に批判するのは将来ブーメランとなって帰ってくる例が多いですが、緊急時に国のリーダーがリーダーシップを全く発揮できていないのは本当に困るので、あえて指摘せざるを得ません。

菅政権の政策的問題点ならばいくらでも指摘できますが、本質的なものとしてあえて一つ上げるならば、お願いベースの政策の継続は政府の責任の国民への転嫁であり、早晩破綻するのを理解しようとしないことです。「暗黙の秩序」という概念に慣れている日本人ならば最初はおとなしく言うことを聞いてくれるでしょうが、お願いが何度も繰り返されれば効果が無くなっていくことは目に見えています。さらに、暗黙の秩序に慣れていない外国人も対象とするのであればならば言わずもがなです。

菅首相が党首を務める自民党は憲法改正に関して緊急事態条項の追加を求めていますが、そうであるならばコロナ対応に関してそれだけ個人の自由制限を伴う強い措置を行おうとするのが当然の対応です。現行憲法下でも、事業者に対して間髪を入れない(要請に従う従わないの有無を問わずの)休業命令を行うことや入国者に対する政府指定施設における待機命令は可能なのに、なぜ菅首相と自民党が全くやろうとしないのか不思議でなりません。私は一年以上、命令による経済活動規制(事業者への休業命令による事実上のロックダウン)と規模に応じた経済補償を速やかに実現して感染を徹底的に押さえることによって、経済活動を早期に再開させるべきだと訴えてきました。安倍―菅政権がやってきたことはこれと正反対であり、これが全くうまくいっていないのは明らかです。

保守強硬派のイメージを作ってきた安倍前首相と菅現首相ですが、コロナ対応のちぐはぐさを見るにつけ、本当はそうではなく彼らは単に日本会議などの右派団体からの指示を固めたいだけの偽装保守のように思えてなりません。実際に、安倍前首相は当選一回の時に、超党派グループ「リベラル政権を創る会」に参加して村山政権の誕生に貢献したこともあります。憲法改正や集団的自衛権など象徴的な政策を進めるふりをすれば日本会議などの右派団体は喜んで付いてきてくれるとタカをくくっているのではないでしょうか。

一方で、日本会議の方もやっていることがちぐはぐです。彼らは「個人の行動の自由に制限が必要な事例」が発生しうるという理由で憲法改正による緊急事態条項の追加を訴えているのですが、憲法を変えなくても行動の制限を行うことが可能であり、さらにそれが必要であるのに取り組もうとしない政府を批判しないのは一貫性がないとしか言いようがありません。





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