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東京以後のオリ・パラ開催の後ろ倒し計画を作成すべき

東京五輪・パラリンピックに関して、日本政府は再度の延期など全く考慮せず、逆に外国人観客の大規模な受け入れを検討しているようです。入場チケットを予約した外国人観客を事実上制限なく受け入れる方針で、さらにワクチン接種を入国時の条件とせず接触アプリのインストールも義務化しないようで、菅政権のコロナ感染症対策軽視には相変わらず呆れてものが言えません。

さて、結論から先に言うと、来年の東京でオリ・パラを開催することは非現実的であり、東京とそれ以後のオリ・パラについて、IOCおよび開催が既に決まった大会の開催都市・国および組織委員会は協力して、早急に開催の後ろ倒し計画を策定すべきと私は考えます。

来年、東京でオリ・パラを開くことが非現実的なのは、関係者でなければ冷静に考えれば直ぐ分かることです。世界でパンデミックが終息するに後数年かかり、開催国の日本でさえその時期には感染が終息していない可能性が高く、その時期に観客入場を受け入れた形で開催を強行すれば、選手間および日本国内での感染が拡大することは容易に想像できます。

来夏強行すれば選手村でのクラスター発生・マスクなし観光客による市中感染拡大の懸念

今日からイギリスで新型コロナワクチンの接種が始まりますが、先進国の一般市民で接収が一般的に行われるようになるのは来年の半ば頃になり、アフリカ諸国などの発展途上国に関しては残念ながら相当遅れるでしょう。普通に考えて先進国での感染が鎮静化するのは来年半ば以降で、世界全体で感染が鎮静化するのは早くてその2-3年後と考えるのが妥当です。

それを考えると、まず出場選手に関しては、来年の夏に発展途上国からも満遍なく選手を出場させて、選手の感染をゼロとするのは至難の業です。そもそも発展途上国を中心に選考会を開けない可能性があり、仮にそれが実現したとしても、日本に入国する場合、発展途上国を中心に入国の際に検査で多くの選手から陽性反応が出る可能性があります。また、選手にワクチン接種を要請したとしても、コンディションに影響をもたらすという理由でそれを拒否する選手が続出する可能性があります。そうした状況では選手村でクラスターが発生する可能性は高いと考えるべきで、開催期間内にスケジュールをすべて消化することは不可能になるでしょう。

次に、外国人観客の入国に関してですが、ワクチン接種を入国時の条件としないようでは、入国時のPCR検査で偽陰性だった感染者により国内での感染が広がる危険性があります。ここで、諸外国でのマスク着用率の低さが問題となります。アメリカでは共和党支持者を中止にマスク着用に拒絶反応を示す人が相当数おり、ヨーロッパでもWHOによると先月20日時点では着用率が60%とのことです。大多数の日本国内在住者は義務化されていないにも関わらず外出時は常時マスクを着用していますが、それでも東京の街中を見る限り、残念ながら外国出身の日本国内在住者のマスク着用率は、日本出身の日本国内在住者のそれと比べると低い傾向にあるように思われます。それを考えると、単なる「要請」だけでは、オリ・パラ観戦のために入国した外国人がマスクの常時着用に必ずしも従ってくれるとは思えません。

私はパンデミック終息までマスク着用を義務化すべきと考えていますが、安倍―菅政権は新型コロナウイルスに関して義務化などの強制的措置の導入を一切拒否しています。菅政権が義務化に対して能動的に動くとは到底思えず、このままではスタジアムなど競技施設内でのマスク着用義務化などは行なわれないでしょう。仮にそれが実現されたとしても、それ以外ではマスク着用は義務化されないでしょうから、マスクをしないで市中を観光する外国人観光客により感染が拡大することが非常に危惧されます。

東京大会だけでなくパリ・ロサンゼルス大会も開催困難な可能性

どう考えても、来年夏の東京でのオリ・パラ開催は非現実的です。しかしながら、今回のパンデミックは日本で始まったものではなく、東京で開催できないことの責任が日本国政府・東京都・大会組織委員会にあるわけではありません。日本側が再度の延期を要請する正当性はありますし、何よりも東京大会が無くなって最も困るのはIOCです。さらに、東京の次のパリ大会に関しても、組織委員会が早くも経費削減方針をしめすなど先行きは不透明です。フランスおよびパリ市における感染と経済的影響は日本よりはるかに大きいことから、2024年の開催は財政的に厳しくなるかもしれません。パリの次のロサンゼルス大会も同様でしょう。

そこで、例えば、①東京開催は2022年とし、同年に東京大会が開催できた場合はパリ・ロサンゼルス大会は予定通りの開催とする、②東京大会は2024年としてパリ・ロサンゼルス大会はそれぞれ4年後ろ倒しにする、2024年以前に関しては2022年に各種競技の開催を感染が終息した諸地域に分散させて行うことを検討する、など、東京とそれ以後のオリ・パラ大会の後ろ倒し計画を複数作成することは多くの点で妥当性があります。

IOCおよび開催が既に決まった大会の開催都市・国および組織員会は、協力していくつかのプランを検討し、状況に応じて代替案が実行できるような体制を作るべきです。先行きが不透明であり1年後の状況が見通せない中、一つのプランしか実行できないような体制を作ることは回避すべきです。

個人的には、コロナがなかったとしても4年毎ごとに一つの都市で一時期にオリ・パラを集中開催することは時代遅れかつ難易度が高くなっていると感じています。しかしながら、東京を含めすでに開催が決まった大会に関しては、これまでの関係者の尽力等を考えると実現を優先させるべきでしょうが、開催時期や方法に関してはより柔軟に対応しなければいずれの大会も実現が困難になる可能性があります。





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