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コロナ禍が終わるまでサービス業からの一時的労働移動を実現せよ

日本国内におけるイギリス変異株の広がりが止まりません。イギリス変異株(以後英国株)の怖いところは、感染拡大が速い・重症化率が高い・30代以下の若者にも感染しやすい(さらに重症化しやすい)ということです。大阪府が4月5日までの変異株感染者の年代を調べたところ、30代以下が全体の6割近くを占めているということで、前回述べたように従来株とは比べ物にならないと言えるでしょう。

菅首相は大阪府・兵庫県・宮城県に加えて東京都、京都府、沖縄県への蔓延(まんえん)防止等重点措置の適用を決定しました。重点措置は事業者に対して命令を行えるなどには緊急事態宣言に近い内容となっていますが、休業要請・命令を行えないという点で異なります。
以下に述べる現状を考えると、休業要請・命令を行えない重点措置では英国株に歯が立たないでしょう。

重点措置では飲食店等に対して、アクリル板設置を義務化できるとのことですが、肝心のアクリル板設置の方法については、朝日新聞によると厚労省は「業種別ガイドラインを守っていれば問題ない」という認識だそうです。

業種別なのは良いとして、ガイドラインではなく数値化・指標化された規則で無ければ、感染力が強い英国株を防げるとは思えません。というのは、設置だけを命令しても置く場所や本数などを具体的に定めなければ意味がないからです。飲食店内で客同士が向かい合ってテーブルに席に座り、正面においてあったアクリル板を横にどけた光景を何回か目にしたことがありますが、これが許されるならば、アクリル板設置は効果がありません。コロナ禍が始まってから1年以上経つのに、厚労省は何でこんなに間抜けな対応しかできないのでしょうか。マスク会食にしても、要請だけでは従わない人が多い以上、命令にすべきだと思いますが検討すらしていません。

飲食店に関しては①指標化された基準を満たした状態でのアクリル板とCO2センサーの設置、②マスク着用拒否客の入店拒否、③客に対する飲食行為時以外のマスク着用要請の3点を義務化して、国民に対しては自宅以外の屋内施設でのマスク着用(飲食店における飲食行為時以外)を義務化すれば、事態はかなり変わると思いますが、菅政権が迅速に行動するとは到底思えません。

菅政権はこの場に及んでもオリンピックをやりたいために緊急事態宣言の発令に後ろ向きとのことですが、第3波の時と同じことが繰り返されるかもっと大変な困難に直面するでしょう。どうしても「緊急事態宣言」を出すのが嫌ならば重点措置で休業要請・命令を行えるようにすべきです(そうすれば両者の違いは事実上なくなりますが)。

それにしても、菅首相をはじめ自民党の古い考え方の人たちは、経済を回す=既存の産業をそのままの状態にして活動を続けると認識しているようです。これまで何度も言っていますが、ワクチンによる集団免疫の確率以前に飲食店等の営業規制を緩めれば緩めるだけ、コロナ禍は長引きます。

飲食店や観光業などのサービス業における超過供給を解消するには供給を減らすべきで、これらのサービス業から労働・資本を一時的に他の産業へ移動すべきです。無理にサービス業を活性化すべきではなく、あと1-2年くらいこれらの産業を上手く「塩漬け」にして、労働・資本・土地などを一時的に他の産業に移動させるスキームを政府は真剣に考えるべきです。

少なくとも国・自治体はワクチン接種を含むコロナ対応で人手不足になっている以上、臨時雇用者としてサービス業から人を受け入れるべきです。ワクチン接種を巡って日本の現行法は医師や看護師しか注射を打つことを認めていません。医学生やボランティアも活用する米欧に比べ接種に相当時間がかかるであろうことは目に見えています。医師会や看護師会は注射行為許可対象の拡大に大反対するでしょうが、彼らの意見に従っていたら何時までたっても集団免疫は確立されないのではないでしょうか。





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