立憲民主党の枝野幸男代表は18日の党会合で、地域を絞った緊急事態宣言を一刻も早く決断するよう政府に求めたいと述べました。菅政権の新型コロナ対策に全く期待が持てない中、野党第一党の党首が緊急時代宣言をすべきだと述べたことは評価できます。
しかし、感染が全国で広がっている中で地域を絞る必要はないと思われます。さらに、自粛要請の業種別ターゲットですが、①常時マスクを着用する、②手洗い・除菌を徹底する、③他人との間に一定距離を取る、ことを守れば感染リスクは低くなることが分かってきたことから、飲食店など上記が守れなくなる場所の利用規制とすべきです。年末年始で特に人が集まるイベントは、忘年会・新年会・クリスマスを祝う外食・パーティ、自宅で親戚等を招く新年会、初詣などです。年末年始に感染が拡大しないようにするためにはとにかく、クリスマスから新年にかけて、こういうイベントの開催自粛を政府が徹底的に呼びかけることが必要です。
以上の理由から、緊急事態宣言は全国規模で発出し、遅くともクリスマスイブの24日には発令して一月中旬までの3週間を発出期間とすべきで、企業にはテレワークの出来る限りの活用を要請する一方で今回の緊急事態宣言は「必要な」企業活動を止めるものではないことを強調すべきです。
現在の状況で緊急事態宣言を出すことの是非については、出した場合の経済損失を問題視する意見と出しても強制力がないので効果が無いのではという意見があります。しかし、今回発出すべき緊急事態宣言は必要な企業活動を止めるものではないことと、外食も含めたレジャー産業に関しては一時的に自粛していただくことが感染抑止と経済活動の早期再開に効果があり、緊急事態宣言は現法制下で行うことが出来る最大の手段であることから、緊急事態宣言の発出は妥当性があります。また、年末・年始は企業活動が停止するので、企業活動への影響をできるだけ少なく出来るメリットがあります。
多くの企業は忘年会・新年会の開催を見送り、個人単位でもクリスマス期の飲食店・ホテルの予約は例年よりかなり少なくなっているはずです。すでにかなりの損失が発生しているわけで、政府が緊急事態宣言を行わないことにより、レジャー産業の事業者の経済損失を彼らの自己責任とさせることは合理的な選択ではありません。抜本的な対策を取らなければ第3波が終息しないのは明らかになったので、政府は覚悟を決めて休業等の要請と引き換えにレジャー産業の事業者に大胆な経済支援を行うべきです。
私は何回も言っていますが、そもそも政府(当時は安倍政権)は、第1波が発生した時点で、レジャー産業従事者を他の産業や公的機関へ一時的に労働移動してもらうスキームを真剣に考え、実行すべきでした。そうすれば、感染が収まっていないのに無理にGoToなどを始める必要も慌てて停止する必要もなかったはずです。ワクチン接種の開始で国内の感染が来年中に収まる可能性はありますが、それでも、レジャー産業が超過供給が解消されるのには相当な時間がかかるでしょうから、政府は一時的労働移動を支援すべきです。
加藤官房長官が菅首相の夜の会食について継続する方向だと述べたり、西村新型コロナ担当相が昨日の時点でも「緊急事態宣言を出すような状況を避けるためにも、事業者や国民のご協力を改めてお願いしたい」などと述べていることから、菅政権に迅速な対応を期待することが出来ないことはよく分かっていますが、言われなければ何もやらない政権なので声を上げ続けるしかありません。
最後にもう一点、自民党支持者でも菅政権に期待する人はかなり少なくなってきていると思いますが、菅首相にいつ辞めてもらうのが国民にとって最適かを考える必要があると思います。個人的には今すぐにもやめてもらいたいところですが、今辞められると自民党総裁選に時間を取られるのでそうもいきません。令和2年(2020年)度予算が成立したのは今年の3月27日でしたが、菅首相にはできるだけ早く新年度予算・改正コロナ特措法・改正感染症法を通してもらい、退陣していただきたいです。