代表ブログ

名が体を表わさず。このままでは立憲民主党が「立憲主義」を破壊してしまう

自民党の総裁選と立憲民主党の代表選が行われています。今回は立憲民主党の代表選について取り上げます。現在行われている立憲民主党の代表選挙には、現職の泉健太代表、枝野幸男前代表、野田佳彦元首相、そして当選一回の吉田晴美衆議院議員が立候補しています。

現在の情勢としては、野田元首相が党所属国会議員や有権者全体からの支持でトップに立ち、二番手に枝野前代表(立民支持層からの支持ではトップという一部報道あり)、泉代表と吉田議員は厳しい戦いという感じでしょうか。泉・吉田両氏に関しては立候補に必要な国会議員20人の推薦を自力では集められず、それぞれ枝野、野田陣営から借りてきたという裏事情があります。

この4人の政策スタンスを見てみると、野田・枝野・泉の三氏に関しては、原発の再稼働を否定せず、共産党との連立には反対、さらに安保法制の見直しに関してもあまり積極的でないことが分ります。安保法制に関しては、4人とも集団的自衛権は違憲と述べているものの、野田氏は「すぐには変えられない」と述べ、枝野氏は法律改正に慎重な立場をとっています。泉氏は、現行の党の政策集では「現行の安保法制については、立憲主義および憲法の平和主義に基づき、違憲部分を廃止する等、必要な措置を講じ、専守防衛に基づく平和的かつ現実的な外交・安全保障政策を築きます。」と掲げているものの、もともと安保法制に対する発言が少なく、そもそも安保法制を認めた2017年の衆議院総選挙の時に安保法制を容認した希望の党から立候補したことから、強いこだわりはないと思われます。

一方、吉田議員は、他の候補と比較し、安保法制・野党共闘・原発に関して、廃止部分の廃止・共産党を含めた野党共闘に反対しておらず、原発ゼロを明言しており、明確な違いがあります。党の創設者である枝野氏も含めた(民主党時代を含む)代表経験者が、(原発推進で共産党を感情的に毛嫌いしている)支持母体の連合の芳野会長の意思を汲んで、保守から見た「現実主義」なるものに主張を変化させていることに比べて、2017年結党時の旧立憲民主党の精神を守っていると言えます。さらに、消費減税も掲げていることから、典型的な左派・リベラルが好む政策を掲げているともいえるでしょう。

ここで、私の政治的立場を述べさせていただくと、それは立憲主義的改憲派の脱原発リベラルと言えます。原発は大規模な事故が起きた場合の経済的損失がとてつもなく大きく、さらに軍事攻撃だけでなく地震にも弱く、さらに核のごみがどんどん蓄積されていくと言う大きな欠陥を持っています。地震が多く周辺に軍事的脅威となる国を3つも抱える日本で原発に固執するより、再エネの推進や核融合発電の実用化に注力する方が日本経済の起爆剤になることは明らかだと思います。そして、高すぎるジェンダーギャップに見られるように日本社会の閉鎖性・保守性がこの国発展を妨げてきたのは明らかです。さらに、憲法の条文と現実社会の要請が乖離している現状を変えて法の支配を取り戻すには立憲主義的な改憲が必要であり、それが日本の政治経済体制をより公正で機能的なものに進化させると考えています。

その視点から見ると、今回の代表選においては吉田氏を除く三候補、その中でも有力候補で党の重鎮である野田・枝野両氏の姿勢に対しては、疑問を感じざるを得ません。野田氏に関しては自民党とどこが違うのかと言いたいし、党の創設者である枝野氏に関しては変節ぶりを批判せざるを得ません。今頃になって安保法制や原発で軌道修正をするならば、あの「希望の党」騒動はいったい何だったのかと言いたくなります。もちろん吉田氏に関しては、消費税に関して給付付き税額控除を推進する立場からは、(食料品減税は消費税収を下げる一方で逆進性の解消にあまり寄与していないことから)彼女の主張には賛同しかねますし、外交防衛に関してもほとんど言及がないなど不十分さを強く感じます。しかし、自民党-霞が関-既得権益集団(経団連など)という政官財のトライアングルの主張に流されない点は評価できると思います。

今回最有力とされている野田氏に関しては、旧民主党時代から党内では保守派であり、自民党との政策の方向性の違いがよく分らない政治家と言えるでしょう。今現在は代表選特設サイトを開設して自身の政策を発表していますが、本人の公式サイトにおいては日ごろから政策は記載されてこなかったことからわかるように、もともと政策に関する主張が弱く、事実上「財務省の推薦候補」として首相になり消費増税を決定したことでしか政策面では特色がありませんでした。ゆえに、私としては役人のレールに乗った政治をする人の印象しか持てませんので、万一政権を担当することになっても霞が関と対立しない政策しかやらないのではないかと考えます。外交に関しても、日米関係の強化を訴える一方で日米地位協定の改定には「米国との協議を行う」としていますが、明確な目標として掲げていません。原発に関しても、今回の代表選においても、9月7日に日本記者クラブで行われた討論会で、「最終的に原発をゼロにする目標を掲げ続けるべきだと思う方は手を挙げてください」と記者から質問を受けた際に、挙手をしなかったのは野田氏だけです。

一方で、憲法改正に対する立場を聞かれた際は、「自分は自衛官の息子だが、(自衛隊に関して)違憲だと言われたことは一度もない」、「いま憲法を一番の争点にするのはどうかと思う」と消極的な発言をしています。党内における改憲アレルギーの強さを考慮しての発言だと思いますが、個人的な経験を根拠に「違憲とはみなされていない」という理由で、「世界でも有数な戦力を持つ軍隊」として認識されている自衛隊の役割と任務の限界を最高法規たる憲法で定めようとしないのは怠慢だと思います。「違憲」なはずの安保法制の改正を進めずに憲法の改正も行わないのであれば、解釈改憲を認め憲法の条文と運用との乖離を広げて行くだけに過ぎません。こういう政治を変える事を目的としたのが‘‘立憲“民主党だったのではないでしょうか。

その意味では最も問題なのが党の創設者である枝野氏の最近の言動ですが、この点に関しては次回の記事で詳しく述べたいと思います。

与野党第一党の党首選後、秋には衆議院選挙が行われると予想されています。党のアイデンティティーさえ失ってしまった野党第一党に対して国民が期待を寄せるとは到底思えません。政権交代の可能性を全く見いだせない閉塞感が漂う日本政治に少しでも風穴を開け、新風を吹き込むために、私たち未来進歩党・進歩党は悪戦苦闘しておりますが、皆様のご支援を何卒宜しくお願い申し上げます。





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