政府は昨日、新型コロナウイルスのワクチン接種をスマートフォンで証明できるアプリの使い方を報道陣に公開しました。アプリはデジタル庁が開発したそうですが、利用にはマイナンバーカードが必須であり、カードの利便性を高めるのが理由とのことです。
唖然としました。アプリ導入は本来、飲食店などでの感染を防ぐために導入されるものです。なぜ、アプリの導入に4割しか普及していないマイナンバーカードの保有を必須とするのか意味が分かりません。国民の大多数がアプリを利用することができて初めて効果を発揮するものなのに、なぜアプリの普及を阻害する制約を加えようとするのでしょうか?これではCOCOAと同じように失敗するのが目に見えています。
デジタル庁は、今すぐにマイナンバーカード強制を撤回すべきです。
どうしてデジタル庁がこのような愚かな行動をとるのかは明確で、発足したばかりのデジタル庁は、行政のデジタル化を推進する政府機関ではなく、マイナンバーカードを普及させるために姑息な手段を考える政府機関となってしまっているからです。
政府は、マイナンバーカード普及のために約1兆8000億円の補正予算を組んでいます。マイナンバーカードを新規取得したら5,000円の最大ポイント付与、保険証を登録したら7,500円のポイント、公金口座の登録をしたらさらに7500円のポイントを付与するというのは愚かで、こんな無駄なお金の使い方をすべきではありません。マイナンバー自体は国民に既に割り振られているのに、ハードというアナログな存在である「カード」を普及させることが目的化しているのは本末転倒です。カードの発行自体が2か月くらいかかるというどうしようもない状態なので見直しが急務ですが、カード以外の方法でマイナンバーと保険証や口座を紐づけることに力を注いだほうが生産的ではないでしょうか。
行政の効率化・デジタル化のために政府が必要な個人情報を一体的に管理する必要があるのは理解できます。しかし、それは政府への信頼があることが大前提です。遵法精神・アカウンタビリティが著しく欠如した安倍-菅政権が9年間も続いたことから、国民の政府への信頼が低くなっているのは事実でしょう。政府がマイナンバーを有効活用したいのであれば、情報管理とアカウンタビリティの徹底は必須です。情報管理の体制がどうなっているのかを国民に対してわかりやすく説明すると共に、全ての国民が、国・自治体が自分の情報を何に使っているのかすぐに確認できるようにしなければなりません。
せこいインセンティブを使って個人情報を収集するために何兆円も無駄金が使われるような、前時代的・非効率な政治・行政は終わらせるべきです。