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日本政府はワクチンの知的財産権の一時的免除をG7各国に提案すべき

首都圏の1都3県への緊急事態宣宣言が今日から再度延長され、新たな期限は21日となりました。前回の投稿で書いたことですが、延長自体はやむを得ないものの、下げ止まり傾向が鮮明になる中(先週月曜日の都の新規感染者数は121人→本日は116人)、案の定、菅首相が強力な感染抑止策(時短でなく休業を要請するetc)を追加で講じなかったのは失望しました。政府は(いまさら)PCR検査を拡充する、積極的疫学調査を強化すると言っていますが、それは緊急事態宣言があるなしに関わらずやるべきことであり、実質的には政府は単に「様子を見るために」単なる期間延長を行っただけと言えます。

従来株だけならば、今後暖かくなっていくこともあり宣言解除による感染再拡大のスピードは緩やかであるかもしれませんが、他国の状況を見る限り感染力が強い変異株の存在を考えると、宣言解除後しばらくすると変異種による感染が急速に広がっていく可能性が高いと思います。東京都北区保健所の前田秀雄所長は「ただ2週間延ばしても、第4波を2週間遅らせるだけ。強い対策をしないと効果はない」と述べられたそうですが、私もそう思います。

菅首相は様子見などと変な言い訳をしないで、10日でも一週間でも良いので首都圏で休業要請など人の動きを徹底的に抑制する政策を取るべきです。いたずらに緊急事態を延長すべきではないですが、せっかく延長した以上、感染者を減らすために出来ることはすべてやるべきです。

さて、国内における当面のワクチン供給量が政府の当初の想定より少ない見通しになり、住民への接種についての実施計画を見直したり一旦中止したりする自治体が増えているそうです。これはワクチンの需要量に製薬会社の供給体制が追い付いていないのが原因ですが、ワクチンを開発した大手製薬会社しかワクチンを生産できないからこうなるのであり、世界的に見れば、ワクチンの知的財産権がワクチンの供給を送らせているのは言うまでもありません。

立憲民主党の山内康一衆議院議員も述べられていましたが、本来、ワクチンを開発した大手製薬会社の知的財産権を保護することは重要ですが、それによって多くの人命が失われ、衛生・経済危機が続くことは許容されるべきではありません。さらに、中国やロシアが発展途上国にワクチン外交攻勢をかけて、英米の製薬会社開発のワクチンの代わりに中ロ開発のワクチンが発展途上国で流通することは、色々な点で問題があります。

2020年10月に南アフリカ政府とインド政府がWTOにパンデミック終息までの期間、新型コロナウイルスの予防と治療に関する知的財産権の免除を共同提案しましたが、日本を含む先進国がこの提案に反対して合意に至らなかったのは残念です。
おそらく当時は、先進各国の政府は、知的財産権がワクチン供給を遅らすであろうことについて真剣に考えてこなかったのでしょうが、今は状況が違います。いまだに先進国の政府は技術革新に支障が出るなどと主張しているようですが、人の命を犠牲にして製薬会社の技術革新を優先することは説得力がありません。

たとえアメリカでワクチン供給体制が軌道に乗り同国で早期に集団免疫が確立したとしても、他の国で集団免疫ができなければ他国でウイルスは進化し続けるでしょうし、他国との人的交流も停滞したままでしょう。それだけ、アメリカの航空会社、旅行関連・飲食・レジャー産業の業績回復は遅れるでしょうから(3年も4年もこの状況を続けられるのでしょうか?)、知的財産権の保護はアメリカにとっても合理的な選択ではありません。

ちなみに、ワクチン接種率が50%を超えているイスラエルとUAE(アラブ首長国連邦)で、いまだに感染者数が多いことをもってワクチンが役に立たないみたいなことを言っている人がいますが、これらの国とてまだ集団免疫が確立されている状況ではなく、さらに感染数が多いのは、ワクチンを接種していない人で感染対策をおろそかにしている人が多いのが理由なのかもしれません。現時点でワクチンの有効性を否定するには間違っていると思います。

各国政府が資金を拠出してワクチンを開発した製薬会社に経済的補償を行うことによってパンデミック終息までのワクチンの知的財産権が免除されることは合理的であり、日本政府はこのことを米英政府などに提案すべきです。本来、日本政府はGoToトラベルなどに予算を費やす代わりにワクチン開発に十分な資金を拠出すべきで、日本が自前でワクチンを開発出来ていないのにそのような提案を行うというのは情けないとしか言いようがないのですが、日本を含む世界各国でジェネリックのワクチン接種が進めば、それだけ各国での集団免疫確立が早まるのは間違いないでしょう。

菅首相の外交的能力は大いに疑問符がもたれる所ですが、菅首相はオンラインG7サミット開催を提案して、他のG7メンバーに知的財産権免除を提案すべきです。





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