本日も東京都で火曜日としては過去最多の856人の感染が確認されるなど、年末になっても国内の新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。さらに変異種という新たな懸念材料まで出てきて気が重い年の瀬となりました。特に、立憲民主党に所属していた羽田雄一郎参議院議員がコロナにより急逝されたことは衝撃的でした。羽田氏は基礎疾患があったとはいえ重度ではなく、お酒は全く飲まなかったそうです。まだ若く、つい先日まで元気だった人が突然命を失ったわけですから、コロナは恐ろしい存在だということを改めて認識させられました。羽田氏のご冥福をお祈りします。
このような切羽詰まった状況にも関わらず、菅首相は緊急事態宣言を発出する気がないようで困ったものです。先日、関東圏内の有名な寺院が初詣の広告を出していたのを見ましたが、初詣によりクラスターが多発することを心配してします。菅首相は年明け4日に予定していた自身の伊勢神宮参拝を取りやめましたが、それだけではメッセージとしては不十分であり、寺院等に対して大晦日から正月三が日まで公開中止を要請すべきです。
さて、今年一年のまとめという意味も含めて、政府がこれだけやれば感染はかなり抑止されるだろう政策を改めてここで列挙し、政策の実行を提言します。
1.全国での緊急事態宣言の発出
2.外国人の新規入国停止に関して、11カ国とのビジネス往来の例外適用中止
3.罰則規定と休業補償を盛り込んだコロナ特措法の改正
4.新型コロナウイルス感染症に関して、コロナ単独の新たな類型を設けた感染症法の改正
5.公共の場における常時(飲食行為時を除く)着用義務化
6.設置基準を明確にした形での飲食店におけるアクリル板設置の義務化
7.ワクチン承認手続きの迅速化
1.についてはこれまでも述べてきましたが、3週間程度全国で行い感染がかなり鎮静化した地域に関しては早期解除を認めるべきです。
2.については、変異種は国を区別するわけではなく、11か国に含まれる韓国でも変異種による感染例が見つかったことからこうした例外は認めるべきではありません。
3.についてはこれまでも述べてきましたが、罰則規定を設けなければ休業要請に従わない事業者が多数発生するであろうし、休業補償を設けなければ飲食店は立ち行かなくなります。罰則規定と休業補償は車の両輪です。
4.に関しては、すでに高齢者や基礎疾患がある患者以外に自宅療養を促すケースが増えています。指定感染症(2類相当)の厳密適用では医療体制が持たないのは明らかである一方、新型コロナウイルスの重症化率や感染の広がりやすさを考えれば、5類相当は不適切であり新型コロナウイルスに適した類型を作るのが最適です。
5.および6.については、飲食店での会話が現在の感染拡大の主要因と考えられることから、飲食店を通じての感染を起こさないようにするための対策です。マスク着用義務がない中では、飲食店の従業員が客に対して飲食行為が終わった後のマスク着用を促すのはかなり難しいと言わざるを得ません。また、アクリル板の設置に関しても設置義務がないことから、店によって対応がバラバラです。政府が客観的かつ明確な設置基準を設定し、設置への支援を行うべきです。店内の換気に関しても同様です。
7.に関しては、様々な理由があるにせよ国内でワクチン接種開始が少なくとも2か月先というのは、遅すぎるとしか言いようがありません。安倍-菅政権は国産ワクチンの開発に予算を費やさず、外国産ワクチンの確保に力点をおき、加藤前厚労相(現官房長官)は会見でワクチン確保量を誇っていました。しかし、フランスやドイツなどヨーロッパ諸国で先週末からワクチン接種が始まったのに日本が2か月も先というのであれば、厚労省は今まで何をやっていたのかということになります。色々な理屈付けがされるでしょうが、日本で集団免疫が達成されるのは2022年の半ばと主要先進国で一番遅い見込みというのはあまりに情けないです。ワクチンを契約しても肝心のワクチン接種が進まないのであれば意味がありません。ワクチン接種の遅れは2.にも関係してくることで、集団免疫が進まないのであればいつまでも鎖国状態が続くことになり、航空業界・観光業界の業績回復もそれだけ遅れることになります。
とにかく、1から7までを迅速に行うことが感染の鎮静化に繋がります。菅首相が財務省や厚労省、さらに二階幹事長を説得してリーダーシップを発揮しなければ、それだけ日本の景気が悪化し感染拡大が続くことになります。菅首相を応援する気はさらさらありませんが、リーダーが大鉈を振るわなければこの危機は乗り越えられません。
菅首相と与党の自公両党が機敏に行動しない中、年末年始に少しでも感染を抑えるためには国民の皆さま一人一人の行動が重要です。不要不急の外出を控え、密を避け、食事時に感染が起きないよう十分に注意して穏やかな年明けを迎えていただきたいと思います。