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今回の衆議院総選挙について(党代表声明)

今回の衆議院総選挙について(党代表声明)

 

先月就任した岸田首相は、安倍-菅政権の企業優先の政治・説明責任が欠如した政治からの転換を示唆したものの、行動が全く伴っていないのが現実である。前者に関しては、分配なくして成長なしとして「新しい資本主義実現会議」を設置したが、そもそも市場メカニズムの中で再分配を進めるのであれば社会民主主義を掲げれば十分なのに加え、会議のメンバーが従来型の経営者に占められているなど、全く期待できない内容になっている。後者に関しては、自民党本部による河井案里氏への1億5千万円の資金提供問題や森友学園への国有地売却を巡る文書改ざん問題について、「再調査は考えていない」と述べるなど安倍-菅政権の対応と全く変化が見られない。

こうした岸田首相の政治姿勢から政権への支持は今後低下していくと考えられるが、対面でのG20参加を拒否してまで総選挙の実施を急いだ結果、短期間で有権者に岸田政権の実態が伝わらず、政権が維持されてしまったのは非常に残念である。

今回の総選挙では、事前の予想に反し自民党は安定過半数を確保した一方で、野党第一党の立憲民主党は議席が二桁台にとどまる大惨敗に終わり、日本維新の会は第三党に躍進した。

立憲民主党の敗北に関しては、一部のメディアから野党共闘は失敗したとの声が上がっているが、それは間違いである、そもそも一連の提携が「共闘」といえるほどのレベルに達しておらず、さらに立憲民主党自体の支持率が低迷していたことから中途半端でも連携が無かったらもっと悲惨な結果になっていたはずである。同党敗北の原因は同党への支持の少なさにある。

立憲民主党は、党内や支援団体の対立構造に影響を受けない政策項目以外は漸進主義的な政策しか打ち出しにくい構造になっており、同党の支持率が低迷していったのは当然の成り行きであった。また、野党第一党である同党は、早い段階で各党に政権構想を示した次期政権のたたき台を作り、各党と公式に協議を行いエネルギーや安保まで政策の違いを詰めて、合意に達した政党・政治団体とは選挙区の一本化や比例名簿の統一化まで行うべきであったが、同党はそうした野党第一党としての当然の責務を放棄し、結局、市民連合が野党間の政策調整を行わざるを得なかった。同党の野党第一党としての資質の欠如が自民党政権の継続を許した最大の理由である。

一方、日本維新の会は、今回の選挙においては政権批判の受け皿として一定の支持を得たが、所詮は自公の補完勢力といえる保守政党であり、自民党と対峙する一二大政党の一翼を担う存在では決してない。多くの民主主義国では中道左派と中道右派の二大政治勢力が対峙しており、そのことが政治学・経済学の理論にも整合的である。

今、日本において政治が行うべきは、コロナ渦で拡大した経済格差を縮小すべく再分配を進めて妥当な範囲まで公平さを取り戻すことと政治システムを21世紀にふさわしい合理的なものに再構築することである。今こそリベラル・中道左派勢力が政権与党として発揮すべき時なのにそれができていないのは、現在の立憲主義的野党に持続可能な経済成長や統治機構改革に関するヴィジョンが欠如していることと、各党間でエネルギー政策に関する不一致があるのが原因であろう。

私たち社会民主進歩党は、脱原発を実現するグリーン・ニューディール、教育や研究への大胆な投資、合理的なベーシックインカムの導入、リベラルで立憲主義的な統治機構改革、世襲の禁止、選挙制度改革(プレミアム付き比例代表制の導入)を訴えている。本党が今回、衆議院議員選挙に挑戦できなかったことは忸怩たる思いであるが、リベラル勢力の受け皿を早急に作らなければならいのは明確であり、国政選挙への挑戦をできるだけ早く実現させるべく党の体制整備に全力を尽くす次第である。

2021年11月2日

社会民主進歩党代表
鈴木 しんじ





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