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オリパラ開催でワクチン接種が遅れるのは許されない

東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催について国民の大多数は懐疑的であり、予定通りの開催を主張する政府・東京オリパラ組織委員会・IOCに対して批判が高まっています。

衆議院予算委員会での立憲民主党の辻元清美衆議院議員からの質問に対して、橋本聖子五輪相は医師や看護師など合わせて必要な医療スタッフの数は大会期間中、1万人程度が必要になると答えましたが、このことは少なくとも1か月以上はその数の医療スタッフがオリパラに持っていかれることを意味しています。

開催時期が夏ということもあり、仮にオリパラ開催時に感染がある程度収まっていたとしても、開催時までに日本国内でワクチン接種による集団免疫が確立しているとは到底思えません。米英仏などでのワクチン接種の遅れを報じるニュースを耳にするにつけ、日本国内でワクチン接種が各年代に行きわたるようになるのは、早くて今年の終わり頃になると考えるのが現実的判断ではないでしょうか。コロナ禍終息にはワクチン接種拡大が不可欠と考えられているにもかかわらず、スポーツイベント開催のために国民のワクチン接種が遅れるというのはあまりに愚かな話です。

実際にはオリパラ延期に向けた交渉が水面下で進んでいるとのことですが(本当に何の交渉も行われていなかったら困ります)、日本側(政府・東京都・組織委員会・JOC)はIOCに対して正式に延期要請を表明すべきです。東京でオリパラが開催できないのは日本政府の責任でも組織委員会の責任でもありません。

なぜ、密室での延期合意ではなく正式な延期要請の方がいいのかと言えば、その方が公正な代替案を、時間をかけて決定できるからです。そもそも、オリパラの「一年程度の開催延期」自体が追い込まれての熟慮を欠く合意でした。昨年の時点でも1年間でコロナが終息するというのは希望的観測でしかなかったわけで、このような拙速な合意が密室で決定がされたのはIOC・安倍前政権・東京都・組織委員会・JOCの判断ミスだったということになります。

今後、東京で二度とオリパラを開催しないで構わないというのならばそれはそれで結構ですが、日本の五輪関係者が延期してもやりたいと考えているのならば、延期要請の表明が遅れるほど延期した場合の開催条件は不利になるのではないでしょうか。

交渉を有利に進めるためには、日本側は、「世界での新型コロナウイルス感染が今夏に収束する見込みがないから」と日本の責任ではないことを明言した上で、開催の延期要望と状況の変化に柔軟できる複数の代替案を提示し、IOCやパリ・IA五輪関係者に積極的働きかけるべきです。その方が、国内外の世論を喚起することに繋がり、希望的でなく科学的知見に基づいたスケージュール見直しにつながるでしょう。





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