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「大阪都構想」の代替案はこれだ

アメリカの大統領選挙は、現在のところ民主党のバイデン候補が有利な状況にありますが、不確定要素があまりにも多く、選挙結果についてコメントをするのはもう少し日にちが立ってからにしたいと思います。暴動が発生する可能性なども指摘されていますが、そのような状況が起こらないことを祈ります。

さて、大阪市を廃止し4つの特別区を設置することに対する住民投票(いわゆる大阪都構想に対する住民投票)は、反対多数で否決という結果に終わりました。

これまで、この構想を主導してきた日本維新の会及び大阪維新の会(以後、維新という)の政治姿勢に関しては様々な問題点があると感じますが、維新が大阪府と大阪市の二重行政を取り除こうとしてきた努力については一定の評価が与えられるべきです。しかしながら、そもそもの話なのですが、東京都知事が「東京市長」を実質兼ねるという「東京都」は戦時遂行体制の遺物と言われ、これを今の時代になって大阪で真似をしようとしたことは、妥当ではなかったと思います。

本来は「大阪市」に相当する地域を拡大することが目的だったと思いますが、「大阪市」の市域にあたる部分を拡大させる前に大阪市を消滅させるという手順を受け入れがたい人も多かったのではないでしょうか。また、現状では大阪市の大阪府に占める人口比率は約三分の一であるにもかかわらず、「大阪市」該当地域だけに関して大阪府知事が「大阪市長」を兼ねるというのはいかにも不自然です。

その他にも、先日述べたように、特別区の区分けの妥当性が明確でない、特別区へ新たに参加する近隣市がどれくらいになるのか不透明である、特別区民がこれまでよりも「市政」へ関与出来る度合いが減少する、維新自身が主張している道州制を導入した場合に特別区や大阪府、他の府県の関係がどうなるのか不明確である、といった問題点があり、維新のプランは不十分だったと言わざるを得ません。

日本維新の会および大阪維新の会代表である松井大阪市長は任期満了を持っての引退を表明し、吉村大阪府知事は大阪都構想を断念することを表明しました。これで維新の試みは終了したわけですが、私は今の大阪府・大阪市に関わる現行の制度がベストだとは思えません。

先日も述べましたが、大阪市は面積的に世界の他の大都市と比べて小さすぎます。なので大阪市自体は拡大すべきですが、一方で大阪市が拡大するほど、大阪府に占める大阪市以外の市町村が占める人口の割合が少なくなります。大阪市のような政令市は都道府県から数多く行政権限を委譲されるので、大阪市が大きくなるほど大阪府庁は大阪市内にあるにもかかわらず大阪府の役割が減っていくことになります。これを解決する方法として、「東京都」をまねした「大阪都」を創設することを選んだのですが、これが失敗に終わった以上、代替案を考えなければなりません。

そこで我々が主張するのが、道州制の導入・「特別市」制度の導入・大阪市の特別市への移行です。まず、全国の都道府県を経済的にまとまるがある地域ごとに10個に分割して州を設置します。州の下部組織として現行の都府県は存続させますが国から都府県への財政援助は行わず、州からのみとします(北海道に関しては、北海道州の下に現在の支庁に代わり県またはそれと同等の組織を置きます)。東京23区・大阪市・名古屋市・福岡市・札幌市に関しては、都府県から独立し州の直下に置かれる特別市にして、必要に応じて近隣市との合併を促します。国の首都・州の州都への一極集中を排除するために、首都移転を行うと共に州都は各州の人口最大都市以外の都市に置くことにします。

このプランは、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌などの国内主要都市は、政治から独立した経済都市としてさらなる発展を遂げ、健全な形で都市間競争が実現することを目指すものです。大阪府および大阪市に関しては、まず大阪市を大阪府から切り離して、大阪特別市への移行を目指します。大阪特別市が実現した場合、大阪府庁を大阪府南部(堺市を想定)へ移転させます。大阪特別市は現大阪府内の旧摂津国地域及び旧河内国都区部地域、大阪府は旧和泉国および旧河内国南部地域を行政範囲とするように再編を促します。つまり、東大阪市・豊中市・吹田市・八尾市・摂津市・門真市など隣接する市をはじめ、大阪中・北部に位置する府内の市を大阪特別市への参加を促すのです。東京都に関しても同様に、東京特別市とその他の地域(現在の都下と呼ばれる地域に再分割)に分割され、後者は東京府(県)などとして、東京西部地域に府(県)庁所在地が置かれるべきだと考えます。各特別市に関しては、現在の各東京特別区よりは自主権を高めた区によって構成されることを想定しています。

なお、仮に、現大阪市の中心部から少し離れた高槻市や枚方市などがこの「大阪特別市」に参加しないとすると、新「大阪府」内の飛び地になるか他の府県(特に京都府)への帰属の変更のどちらかを選ぶことになるでしょうが、大規模な飛び地は行政コストを増加させることになるので、飛び地を選ぶ選択は避けられるべきです。

いずれにせよ、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌というそれぞれの大都市圏の中核都市は、現行の都府県と同等な存在として原稿の都府県から切り離して、それにふさわしい規模の人口・面積・権限が与えられるべきだというのが我々の意見です。それが二重行政を回避しつつ都市計画を円滑に進めるベストな方法だと考えます。





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