憲法記念日にあたっての党談話
日本国憲法が施行されてから、本日で76年となりました。「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」という日本国憲法の三大基本原理は、第二次世界大戦後の日本の平和と発展を築き上げた基礎です。私たちは今後とも三大基本原理を尊重し、守り続ける必要があります。しかしながら私たちは、日本という国家が予想される困難に対応できるようにするためには、既存の政治システムをより合理的なもの変えることが不可欠であると考え、「日本国憲法Version 2」の制定を訴えます。
私たちは、ウクライナ戦争や台湾情勢の緊迫化など国政情勢の激変に対応するためには、抑止力として機能するレベルへの防衛力の強化と体制の整備が必要であると考えます。しかし、岸田政権を含む歴代自民党政権は現行憲法の不備を是正するために正面から憲法改正に向かい合うこと無く、姑息な手段で解釈改憲を繰り返してきました。一方で、立憲民主党や日本共産党などは同性婚の実現を目指しながらも、いまだに婚姻が「両性」の合意のみに基づいて成立すると規定する憲法24条の改正には消極的または反対の姿勢を取り続けています。既存の国政政党は、民主主義や立憲主義を主張しながらも憲法の条文と現状の乖離に目を背け、自分たちが望む政策の実現に対してだけは都合がよい解釈を行って解釈改憲を行おうとしているに過ぎません。このように「ルール」に対して不誠実な対応を与野党が取り続けてきた結果、日本において政治・行政に対する信頼が極めて低くなってしまったのは明らかです。
私たちは、戦後日本の経済発展を支えた政治・行政の制度が現在では金属疲労を起こしていることがこの国の衰退を加速させている大きな原因の一つと認識し、最も根幹をなす日本国憲法に関しても必要な部分は見直し、より公正、民主的で効率的な統治を実現させるものに変えることが日本再生に欠かせないと考えています。
私たちは、国民が直接最高権力者を選ぶことが出来る大統領制を象徴天皇制と共存させる形で導入すること(日本型大統領制の導入)により、政治の安定化とさらなる民意の反映を目指します。環境権・プライバシー権・同性婚の憲法上での明記、憲法裁判所の創設等を実現することにより、SDGsにより適合した社会の実現を目指します。中央集権的国家体制打破の観点からは、私たちは、地方分権とナショナル・ミニマムの維持の両立を目的とし、(現行の都府県制を基本的に維持した上で)連邦制への移行を視野に入れた道州制の導入と中央政府と州政府の役割分担の憲法上での明記を目指します。
憲法9条に関しては、自衛隊の存在が日本の領土保全と災害救助に不可欠であり、自衛隊の防衛力・規模が「隊」と呼ぶにふさわしくないほど大きくなっている現実を直視すべきとの認識から、自衛隊を「防衛機構」と改称した上で、その存在と役割・行動の制限を憲法に明記することで問題の解決を目指します。ここで、集団的自衛権の行使に関しては、私たちは、その必要性は認めるものの現行憲法下では認められていないと認識しています。それゆえ、憲法9条の改正と安保法改正を同時に行い、国連または「民主主義国家間で結成される国際政府」のもとで日本が一定の防衛的役割を果たすべきであると考えます。なお、私たちは、憲法上で集団安全保障における集団的自衛権の行使を認めるにあたっては、(イラク戦争などの)侵略戦争に日本が加担しないように、憲法上で新設の防衛機構に行動制限を明記し、防衛機構の部隊が海外派遣を行う際には新設の憲法裁判所が毎回合憲性判断を行うべきであると考えます。
現在、進歩党の政策調査会において党の新憲法草案に関する審議が行われており、前文以外の議論がおおよそ終了しました。夏までに新憲法草案を公開する予定です。進歩党は、より公正で持続可能な日本と世界を創ることを目指す未来志向のリベラル政党です。進歩党に対するご支援をよろしくお願いいたします。
2023年5月3日
進歩党代表
鈴木しんじ