長崎「原爆の日」を迎えて
79年前の今日、長崎市は原子爆弾の投下により壊滅的な被害を受け、多くの命が奪われました。私たちは、原爆によって命を失ったすべての方々に深い哀悼の意を表します。また、現在も健康被害や心の傷に苦しんでいる方々に、心よりお見舞い申し上げます。
2022年2月に始まったウクライナ戦争では、東部戦線を中心に激しい戦闘が続き、ロシアは戦況を有利に進めるために核兵器の使用を示唆し続けています。さらに、ロシア軍はザポリージャ原子力発電所を度々攻撃しており、8月4日にも攻撃による火災が発生しました。ザポリージャでの大規模な原子力事故は、甚大な被害をもたらす可能性があります。
日本は広島・長崎の悲劇と福島第一原発事故を経験し、国民は放射能の恐怖を強く実感しました。私たちは、核兵器の使用をほのめかし原発を攻撃するロシア政府を厳しく非難し、日本政府に対しても破壊的な行為を阻止するための積極的な取り組みを求めます。
ロシア・北朝鮮・中国といった「武力への依存を高める独裁国家」に囲まれた日本は、国家を防衛し地域の平和を保つために最大限の努力を行わなければなりません。しかし、唯一の戦争被爆国として、核兵器による惨禍が再び繰り返されることがないよう、「核なき世界の実現」に向けて核保有国と非核保有国の橋渡し役として積極的に行動する必要があります。また、原発の安全性についても、私たちは原子力事故のリスクを過小評価し原発再稼働を進める岸田政権・経産省・自民党とその補完勢力を強く非難し、脱原発の必要性を国内外に訴えていく決意を新たにしています。
私たちは、日本が核軍縮に貢献し、再生可能エネルギーで世界をリードする国になるよう全力を尽くします。政権交代を実現し、まずは核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバーとして参加し非核国としての役割を果たすとともに、脱原発へのエネルギー政策の転換を実現し、未来に希望と平和を築くことを目指します。
最後に、昨年10月にハマスによる攻撃で始まったパレスチナ・イスラエル戦争では、多くの民間人が犠牲となり、イスラエルとハマス双方に戦争犯罪が指摘されています。特に、圧倒的に有利な立場にあるイスラエルは、ガザ地区を中心に民間人の犠牲をいとわない攻撃を続けており、国際社会からの非難が高まっています。日本は、過去の侵略行為を反省し平和国家として歩んできた歴史を踏まえ、「核なき世界の実現」だけでなく、悲惨な戦争を止めるために実効性のある行動を取るべきです。この戦争の終結を妨げる最大の障害となっているイスラエルのネタニヤフ政権に対して、明確に反対の姿勢を示すことが必要です。プーチンに対してノーと言いながら、ネタニヤフに対してあいまいな態度をとることはダブルスタンダードでしかありません。
今回、長崎での平和祈念式典にイスラエル大使が招待されなかったと言う理由で、日本を除くG7諸国の駐日大使が欠席を表明(ドイツは昨年と同じく主席公使の参加) したことは、西側欧米諸国のダブルスタンダードをまさに体現した行為でした。イギリスのロングボトム駐日大使は欠席の理由について、「ロシアはウクライナという主権国家に侵略したが、イスラエルは自衛権を行使している」と強調しましたが、イスラエルはパレスチナという主権国家のガザ地区を侵略し、無差別殺戮を続けています。これは、自衛権を行使を大きく逸脱するものであり、ロシアと同様の扱いは当然です。ロングボトム氏の発言は詭弁でしかありません。
日本はG7の一員であることから西欧諸国との結びつきが強いのですが、日本政府はG7とそれ以外の諸国の間に入り、より公正な世界秩序を実現するために、誰の目にも見える形で最大限の努力をすべきです。
2024年8月9日
進歩党代表
鈴木しんじ