入管法改正案の可決・成立に対する党声明
政府提出の出入国管理及び難民認定法の一部改正案が、自民公明維新国民各党の賛成により参議院本会議で可決・成立しました。
今回提出された政府案は、2年前に提出され大きな批判を浴びて廃案となった旧法案の内容をほぼ維持したものです。国際的に見て極めて低い難民認定率という根本点的な問題を改善せず、入管の強制送還機能を強化したのが特徴であり、送還が停止される難民認定の申請を原則2回までに制限し、退去命令違反に対する罰則を設けました。
しかしながら、法案提出の根拠となった政府側の立法事実は崩壊しています。政府側の参考人として答弁した難民審査参与員は「入管として見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない」と述べていましたが、当該審査員は難民と認められる可能性が低い申請を書類中心で審査する「臨時班」に在籍しており、さらに当該参与員の担当件数が異常に多かったことから、当該参与員の発言の信憑性が疑われています。難民認定率の高い参与員は外されるとの元参与員の証言もあることから、当該参与員の発言を都合よく引用して法改正の必要性を訴えてきた政府の主張の妥当性は、根本から覆されています。
さらに、21年に名古屋入管で収容中のスリランカ人女性が死亡した事件を受け、政府は施設内の医療体制の見直しを進めてきたと主張していますが、大阪出入国在留管理局の常勤医師が酒に酔った状態で外国人収容者を診察した疑惑が浮上し、政府の対応に不信感が高まっています。
このような状況で、強制送還機能の強化を強引に進めたことは極めて前時代的対応であり、法案を提出した自公連立政権とそれに同調した日本維新の会および国民民主党の責任は極めて重いといわざるを得ません。維国は原発の60年超運転を可能にした束ね法案でも自公に同調し、LGBT理解増進案法案に関しても「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」という、多数派への配慮規定を新設させるなど、同法案を「LGBT理解抑制法」と呼べるほどまで内容を後退させてしまいました。
令和の大政翼賛会ともいえる自公維国が横暴を繰り返すのは、立憲民主党が求心力を失いもはや野党第一党としての役割を果たせていないからでです。今こそ、新しい時代にふさわしいリベラル勢力を構築し、力を結集することが必要です。自公そしてその補完勢力の維国から政権を奪還することにより入管法を再改正し、公正で透明な難民受け入れ体制を構築しなければなりません。そして、自公政権下で成立した他の不公正な法制度についても抜本的に見直していかなければなりません。
2023年6月10日
進歩党代表
鈴木 しんじ