菅首相の自民党総裁選不出馬に対する鈴木党代表のコメント
菅首相が今月行われる予定の自民党総裁選に出馬しないことを表明しました。表向きはコロナ対策に専念することを理由に挙げていますが、総裁再選への見通しが立たなくなったことが理由なのは明らかです。
菅首相は一貫して強力なコロナ感染抑止対策をとることを否定し、対応は小手先といえる中途半端な政策に終始しました。感染者数が十分下がっていない状態で強力なデルタ株が国内に流入して来たにもかかわらず、東京オリンピック・パラリンピックを強行した結果、人流抑制に失敗し感染が爆発しました。
国民の命よりも自らの功績づくりや権力の維持を優先し、さらに説明責任を取らずに批判する者を排除しようとする人物が国民の支持を失うのは当然です。最後は、総裁選前の衆議院解散や党役員交代という奇策を使って保身に走ろうとしたことで党内求心力を失い、万事休したと言えます。
総裁選には河野ワクチン担当相が出馬を決意するなど立候補の動きが活発化していますが、自民党は安倍-菅政権における政権・党運営を反省し、コロナ感染抑止策に力を入れるとともに国民への説明責任を全うする誠実な人物を党のリーダーに選ぶべきです。
また、国政野党、特に立憲民主党に関しては、総裁選が盛り上げれば風向きが変わり一気に劣勢に立たされるかもしれず、同党の枝野代表は敵失だけでは政権が取れないことをよく認識すべきです。
枝野氏は単独政権を目指すと発言してますがそのような状況ではないことは明白で、共産党を含めた野党共闘の明確化と政策合意を早急に実現させるべきです。
さて、今回の首相退陣劇で、党内力学だけで不適切な人物が首相に選出されてしまうことと政権が短命に終わりやすいという日本政治の問題点が改めて浮き彫りになりました。
この問題点は構造的なものであり、自民党総裁選や衆議院選挙の結果に一喜一憂せず、真剣に考える必要があります。欠陥だらけの政治制度に手を加えず放っておけば、また菅政権のような政権が誕生するのは避けられません。
私たちは、そもそも議院内閣制自体が大統領制に比べ、民意の反映と政権の安定という点で劣ることから、君主制と大統領制が融合し天皇と大統領が共存する形での大統領制の導入を訴えています。
二回投票(決選投票)で正副大統領をペアで選出し、正副大統領の任期は5年で再選は一回までとすれば、より正確に民意を反映する形で国民が自らの一票で直接国のリーターを選ぶことができ、政権も安定します。
日本では議院内閣制がとられてきましたが、戦後新憲法下では菅首相まで74年間に32人の首相が誕生し、平均在任期間は2年余りです。日本と同じようにG7での存在感が薄いイタリアに関しては、イタリア共和国誕生から今日のドラギ首相まで30人の首相が誕生しています。同じく議院内閣制がとられている英独加豪に関しては、戦後誕生した首相の数は日伊より少なく、日伊よりは安定していると言えますが、それでも与党内の権力闘争で「首相おろし」が起きたり、首相の選出が国政政党間の交渉にゆだねられたりする問題点があります。
私たちは既存の政治制度の枠にとらわれず、21世紀にふさわしいより民主的で合理的な制度を創って国のリーダーを選ぶべきではないでしょうか。